こんにちは、クアッドアローの中の人です。世間では「サイトで製品情報とかの更新がない企業はブラックと言われたりしますが、ここ半年くらい開発実績掲載不可の案件が続きまして本当は「ガ◯◯~!」とか「ス◯◯~!」とかをどっかの井戸に向かって叫びたいのをぐっと堪えて、今日は世間で定期的につぶやかれる
「あのゲームって◯◯のパクリだよね?」
についてちょこっと語ってみようかなって思います。
主にゲームという商品での話になりますが、ユーザー目線ではゲームAが既存のゲームBに似てたら「あのゲームって◯◯のパクリだよね?」と表明して終わりです(当該企業としては炎上せず終わってほしい)。
ですが作り手といいますか、パブリッシャー/デベロッパーの視点ではそれほどシンプルな話ではありません。いや『別の意味でシンプル』かもしれないですね。ぶっちゃけ「儲からないゲームを作ってたら明日は東京経済の倒産情報に社名が載っちゃうよ」という生き馬の目を抜く世界なのです。スレッガー・ロウの「悲しいけどこれ戦争なのよね」がとっても染みます。
そんなわけで世の経営者というのは皆「どんな手を使っても勝つ」と「卑怯な手を使うと袋叩きに遭う」の間で行ったり来たりしてるわけで、その亜空間で「あのゲームって◯◯のパクリだよね?」は生まれてきます。
前置きちょっと長かったですが、まず最初に一般的な製品開発の2つのプロセスについて図にしてみたので御覧ください。
要するに「和食が食べたいなあ」という声に対してストレートに応えるのがマーケットドリブンで「いやいや、このエスニック料理食べたことないでしょ!?」というのがサプライヤードリブンですね。
和食を欲する人に和食を提供するのはリスクがないので当然多数の競合店舗が林立します。かといってエスニックを提供して「うおおお!!これがエスニックとブーメランを合わせた全く新しい料理か!!」と絶賛されるか?その可能性は未知数ですから大変ギャンブルです。
そこで「もっと安全確実に儲かる方法はないかなあ」と知恵を絞って誰かが考えだしたのが次の図の「二番手戦術」なのです。
はい、これが世間で言う「あのゲームって◯◯のパクリだよね?」なやつですね。しかし今は「パクリかどうか」の議論は置いておきましょう。純粋に企業の生存戦略として二番手戦術はかなり優秀と言わざるを得ません。どのように優れているのかは以下。
4番は例えばクラッシュ・オブ・クラン。あのタイプのゲームはクラクラ以前から沢山あり、中の人もかなりやりました。やった結果、まあそのうちのどれを手本にしたかも想像がつくし、その上でやはりクラクラは完成度が高いと言わざるを得ません。二番手戦術の優秀さを証明するタイトルでしょう。
一方で二番手戦術が万能かというと、そういう訳でもありません。当然リスクもあります。
このようにいわゆる「パクリゲー」というのは単なる怠惰の結果ではなく苛烈な生存競争を勝ち抜くための一つの戦術であるわけです。むしろ完全なオリジナルのゲームなんて21世紀以降はほぼありません。
「どこをどのくらい差別化すれば違うゲームと認められるのか」
この点を念頭においてゲームを俯瞰してみるとゲームの新しい一面が見えるかもしれませんね。