これを読んでいる皆さんがゲームクリエイターやそれに関連する職業の方であれば「こういうゲームは面白い!」というアイデアを必ず1つや2つは持っていると思います。ゲーム全体のアイデアでなくとも「こういうゲームメカニックは面白い」とか「こういう世界観のゲームは魅力的」のような部分のアイデアという断片的なものも含めたらアイデアのない人は皆無でしょう。
ある日twitterのTLでこのようなツイートを見かけました。
アイデアに著作権はないからこそどんどん撒き散らすべき。特にツイッターとか、140字程度のとりとめのないアイデアの呟きからインスピレーション受けて誰かが作品をつくったなら、それはもうその人の作品でしょ。そしてその誰かは結局自分になる確率が最大というアレ
— 饗庭淵 (@aebafuti) 2016年5月23日
まあこの方のこの言い方だとアイデアはアイデアでも、まだ「ふんわりとした状態のアイデア」を指すんだろうか。であればまあわからなくはないけれども、それでも撒き散らすメリットがどこにあるのかを感じられない…別にどうせ自分で作るんなら尚更つぶやく必要ないじゃん、と。
— ますだ (@succeed_msd) 2016年5月23日
これは大変興味深い問題だと思います。アイデアを隠すメリット、開くメリット、ともに説得力があります。これについて私がどう考えているのか、それを書く前にそれぞれの利点と不利益点をまとめてみましょう
企画をクローズにする
★メリット
・大事なアイデアを盗用される恐れがない
◆デメリット
・自己完結してしまいブレインストームされないため、アイデアとしてのクオリティは押し並べて低くなりがち
企画をオープンにする
★メリット
・企画内容についてコメントを貰えることで企画のクオリティが上がる
・企画内容だけでなく企画『書』としてのクオリティが上がる(アイデアの殴り書き等出ない場合)
◆デメリット
・アイデアを盗用される恐れがある
当然ながら両者は概ね反対の性質を持っていますね。企画書として公開する場合においては書類としての見せ方が鍛えられる分、オープンなほうにやや分があるように見えます。
しかしこれは<あなたにとって>の都合でしかありません。もう一点留意してほしいのは
企画をオープンにされると企業が困る場合がある
という事です。
オープンすぎる世界に戸惑うゲーム産業
とある企画アイデアAがネットでオープンにされたとします。その半年後、そのアイデアにそっくりなゲームBが発売されました。ネットユーザーは目ざとくこれを見つけて「あの会社はネットの企画を盗んだ!!」と騒ぎだして炎上します。
しかし、そのアイデアを盗んだ物的証拠は何もありません。ただ「時期が概ね合っている」という状況証拠のみです。しかし盗用していないという証拠も同様にありません。これは
お互いに悪魔の証明をしなくてはならない
という、完全に手詰まりな状態です。じゃあ引き分け?いえ違います。騒ぎになってイメージダウンする企業のほうが100%損です。だからゲーム会社の中には「企画持ち込みお断り」としているところもあるのです。
しかしながらこれだけネットが普及していると、企業単位でガードを固めてもどうにもなりません。ネット上の書類と過去のゲームタイトルをすべて検証して「全く類似するものがない」という結果が出ることは極めて稀なことはオリンピックのエンブレム問題でも記憶に新しいところです。
ですから相手の都合まで考えた上で企画をオープンにすべきか否かを考えなければいけません。
それでも企画は公開すべき(ただし条件付き)
私の結論は「条件付きで公開すべき」です。条件は以下
1.類似もしくは完全に同じゲームが出たとしても一切のクレームをつけないことを明言する
or
2.自分で着手することが困難なアイデアのみ公開する
or
3.発案から1年以上経過している
1.はすでに書いた事なので割愛します。2の「自分で着手することが困難」という状態はいくつかあります。
A.そういう職業についていない(学生など)
B.物理的に難しい要因がある(室内でレーザー銃で対戦するハコ物企画など)
C.権利的に難しい要因がある(版権キャラの特徴がゲームに重要な役割となるアイデア等)
こういった企画はいくら大事に囲っておいてもどうせ自分で作ることはできず、したがって何らの経済的損失もありません。ですから公開して何らかのフィードバックをもらえるほうがメリットがあります。
3.は皆さんがどうお考えかはわかりませんが、私は「企画は生もの」と考えています。私の企画書フォルダには「ガラケーならではの超面白いゲーム企画」があるのですが、これを企画書に仕立てた半年後にはトレンドがスマホに変わってしまいました。
ここまでタイムリーに腐ってしまう例は珍しいにしても、だいたい企画アイデアは1年立つと古臭くなります。年に1つ以上のアイデアを思いつかないのであれば、申し訳ないですが企画以外の何かに転職することをお勧めします。
企画アイデアは「とっておきの1,2個だけ秘密にして残りは公開する」のがいいんじゃないでしょうか。
だから私は企画を公開します
というわけで私は企画公開すべき派です。もちろん類似商品が出たとしてもノークレームを保証します(でも気になる企画があったらプロジェクトに誘ってくださいね)
というわけで記念の大公開企画書第一弾はこちらです!!!画像をクリックして企画ページへ進んでください(ロゴがダッss!)。